artists and artisans

ARTISTIC INSPIRATION

Excellent craftsmanship. Watanabe Book Binding Co. LTD, Higashinippori, Tokyo, Japan.

東京の思い出3・東日暮里の製本会社

昭和時代にタイムスリップしたような住宅街を、私たちが道に迷わぬよう親友がメールで送って入れた衛星写真の道順通りに進んでいくと、昭和の下町を舞台にした連続ドラマのセットのような製本会社に到着する。昭和21年から3代続く「渡邊製本株式会社」。年季の入った機材や道具の数々は今も現役。道具好きにはたまらない風景だ。経営者ご夫妻とは数年前にFBで知己となった。お会いするのは初めてだった。もしフィレンツェで今の仕事をしていなかったら、知り合うことはなかっただろう。縁は異なもの味なものだ。

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ATELIERGK FIRENZE

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CREATION PHILOSOPHY

材料のこだわり

美術製本とインテリアオブジェ制作という今の仕事を始める前、修復だけをしていた十数年前まで、私にとって紙は、和紙も洋紙も、文房具店か画材店で購入するものだった。紙職人から直接購入することを考えたことはなかった。それが、修復よりも作家の個性が問われる、より創造的な職に携わるようになり、作品に使う材料一つ一つの選択の重要性を学んだ。多様な材料の生産者を時間をかけて調べ、今も常に開拓している。その知識と人脈も、貴重な財産だ。紙は製紙会社、革は革会社、木箱は木箱職人、真鍮金具はブロンズ職人、プリント紙は印刷職人に相談し、厳選する。選択の決め手は、第一に質(それがなければ話にならない)、そして、どこで誰から購入するのかも、重要な鍵になる。他より高くても、より上質のものを迷わず選ぶ。丁寧な良い仕事が光る人、基本精神に共感を持てる誠実な人たちが作った上質材料を使いたい。そういう意気込みと誠意は、自然と作品に表れ、分かる人には必ず伝わると思うからだ。

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JAPANESE PAPER

和紙の話
私の最近の関心事は「埼玉県小川町の細川紙について」だ。3年前、島根の石州半紙、岐阜の本美濃紙、埼玉の細川紙がユネスコ無形文化遺産に指定されたという話を、友人から聞いて知ったのが、そもそもの始まり。和紙は、清らかな水が流れ、原料となる楮などを栽培できる自然豊かな所でないと作れない、ということだけは漠然と知っていたので、関東地方に和紙の産地があるなんて!と驚いて以来、細川紙のことがいつも頭の中にある。教えてくれた友人は浦和在住で、地元では昔から、和紙の手漉き体験は小学校の社会科見学のお決まりで、県民なら知らない人はいない伝統芸術とのこと。私は東京出身だが、故郷東京のことをどれだけ知っているだろうか。灯台下暗しのことばかりだ。(画像は欧州の製紙会社が生産している修復用和紙、左2枚は手染めした革)

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PLASTIC MODELS AND BOARD GAMES

レオナルドのプラモデル2

彼の店マジック・ハンマーの名刺に「ボードゲーム・カフェ」とある。BOARD GAMEという言葉には魅力的な響きがある。卓上ゲームですぐに思い浮かぶのはチェスとバックギャモン。バックギャモンの発祥はメソポタミアまで遡り、5600年以上の歴史のある世界最古の卓上ゲームであり、ロマンスが絵巻のように脳裏に展開されるのは私だけだろうか。こういう店では、土曜日の午後、高校生たち(男の子が多いが時々女の子も見かける)が分厚いスーツケースのような黒い鞄を携えて集まってくる。中に何が入っているのかとても気になっていた。観察すると、鞄の中はクッションで仕切られ、各自プラモデルを取り出して台に設置し、ゲームに興じている。夕食時が近くなると、自分のプラモデルを皆大切そうに鞄にしまい帰っていく。家に閉じこもってスマホにかじりついている若者(大人も)が多い現代、コレクター仲間が毎週集まって楽しむ姿は、人間らしい健全な趣味という感じがして、ほっとする。

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ARTISTIC INSPIRATION

Plastic model creation and collection.

“MAGIC HAMMER” shop and board game bar café: Via di Scandicci 93-99, Scandicci (FI).

www.magichammer.it

レオナルドのプラモデル1

プラモデルと言えば男の子の遊びというイメージがあり、今まで無縁だった。奥が深いことは想像に難くない。収集する物は様々だが、熱心なコレクターに男性が圧倒的に多いのは、幼少期から模型などに触れる機会が多いからかも知れない。先日、レオナルドのゲーム専門店を訪れた。彼がガンダムの話を始めると熱が入り、止まらない。ガンダムは言わずと知れて日本のアニメだが、私にとっては未知の世界。知らない登場人物名にきょとんとしてしまう。店内でスタッフが販売用ミニチュア・プラモデルを制作していた。作業台に所狭しと並ぶ道具と絵具の数々を観察するだけでわくわくする。道具好きの私にはとても魅力的な風景だ。世界中の少年から大人まで、プラモデルに夢中になる気持ちが分かる。

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BESPOKE KNIFE STAND

特注ナイフスタンド

数年来、自宅のナイフスタンドを、質と機能が優れたものに替えたいと思っていた。価格は少々高くてもよいが、安定感のある上質木製、薄型、直立型(一般的な傾斜型は場所をとるため)、既存の包丁8本と調理ハサミ2本を収納できるもの、というのが条件。何年もかけてフィレンツェ中のキッチン用品店と刃物専門店を探し回り、海外のメーカー品もネット検索したが、既製品で理想のものを見つけるのは無理だった。結局、最後の切り札、サン・フレディアーノの家具職人ジーノに特注で作ってもらった。ワックスは自分で塗ったので改良の余地あり。メンテナンス時に、紙やすりをしっかりとかけてから塗り直すつもりだ。綺麗なキッチンはとても気持ちが良い。料理も食事も楽しくなる。生活が豊かになる。と、自己満足に浸っている。

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ARTISTIC INSPIRATION

Excellent craftsmanship. Master of bespoke furniture Luigi D’Orio.

“BOTTEGA DI GINO”: Via dei Cardatori 22R, San Frediano, Florence, Italy.

ジーノの特注家具

通称ジーノの本当の名前はルイージだが、知っているサン・フレディアーノ住民はあまりいないらしい。私たちのアトリエの真裏に工房を構える家具職人。アトリエの窓を開けて作業していると、ジーノと地元住民の世間話が聞こえる。アトリエのウィンドウとエントランス、そして家具の一部は、アトリエ創業時に、私とパートナーの長年の貯金を投資してジーノに特注で制作してもらい、自分たちでアトリエのシンボルカラーであるアマラント色に丹精込めて塗装した。イタリア家屋特有の日さし窓ペルシアーナpersianaを今も完全手作業で作れるフィレンツェでは数少ない家具職人だ。

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CATHEDRAL GLASS

ステンドグラスの思い出

17年前の旅ではイタリア5都市に加え、パリ、バーゼル、チューリヒ、ローザンヌ、ジュネーヴも訪れた。特に印象に残っているのが、スタイルが対照的な、パリのサント・シャペルのステンドグラスと、チューリヒ大聖堂のシャガールのステンドグラス。初夏の太陽光が差し込む環境で見た両作品は、どちらも息をのむ美しさだった。自分がミニチュア人形になって宝石箱の中にいるようだった。パリのシャガール作品ではオペラ・ガルニエの天井画が有名だが、ステンドグラスは初めて見た。構図が固いステンドグラスの印象を覆す、柔らかさ、軽快感、透明感、見事な色のグラデーションで、平面ガラスでこんな表現ができるなんて神業と思った。

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(画像はスティベルト美術館の装飾窓)

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ARTISTIC INSPIRATION – FRESCO

フレスコ画の思い出

初めてのイタリア旅行でパドヴァを訪れたのは、尊敬する人に「芸術的職業を目指すならパドヴァのスクロヴェンニ礼拝堂のジョットのフレスコ画だけは見てくるように、強く感じるものがあったら、厳しい芸術の世界でやっていくことができるかも知れない」と言われたため。長い修復が終わり、一般公開が再開して間もなかった。礼拝堂に足を踏み入れ天を仰いだ瞬間、雷鳴に打たれたような衝撃を受けた。ジョットが天空を表現するのに用いた青色の美しさは、万語を費やしても足りない。こんなに美しいものがこの世に存在すること、芸術作品が7世紀を経て今も尚、人々に感動を与えてやまないことに、体中に電気が走るような感覚を覚えたのを、今も記憶している。自分は美術品修復家になると心に決めた、思い出の場所である。

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(画像はサン・サルヴィ教会アンドレア・デル・サルト作『最後の晩餐』部分)

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ARTISTIC INSPIRATION

Excellent craftsmanship.

Master of Mosaic “FRATELLI TRAVERSARI”, Florence, Italy.

https://artemest.com/artisans/traversari-mosaici

フィレンツェ・モザイク

スカリオーラとモザイクは似ているがテクニックが異なると述べたが、モザイクもフィレンツェの重要な伝統芸術である。昨年の職人展で知己を得た、フィレンツェ・モザイクの老舗フラテッリ・トラヴェルサーリ社を紹介する。画像では3種類のモザイク技法を見ることができる。①はめ込み式(フィレンツェ・モザイクと呼ばれる)、②サイコロ状に砕いた石を組み合わせる方法(ラヴェンナの教会、フィレンツェではサン・ジョヴァンニ洗礼堂やサン・ミニアート・アル・モンテ教会の天井に見られる)、③細い棒ガラスを無数に組み合わせる方法(ミクロ・モザイクと呼ばれる)。

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(画像はスティベルト美術館所蔵モザイク作品)

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