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CREATION PHILOSOPHY

材料のこだわり

美術製本とインテリアオブジェ制作という今の仕事を始める前、修復だけをしていた十数年前まで、私にとって紙は、和紙も洋紙も、文房具店か画材店で購入するものだった。紙職人から直接購入することを考えたことはなかった。それが、修復よりも作家の個性が問われる、より創造的な職に携わるようになり、作品に使う材料一つ一つの選択の重要性を学んだ。多様な材料の生産者を時間をかけて調べ、今も常に開拓している。その知識と人脈も、貴重な財産だ。紙は製紙会社、革は革会社、木箱は木箱職人、真鍮金具はブロンズ職人、プリント紙は印刷職人に相談し、厳選する。選択の決め手は、第一に質(それがなければ話にならない)、そして、どこで誰から購入するのかも、重要な鍵になる。他より高くても、より上質のものを迷わず選ぶ。丁寧な良い仕事が光る人、基本精神に共感を持てる誠実な人たちが作った上質材料を使いたい。そういう意気込みと誠意は、自然と作品に表れ、分かる人には必ず伝わると思うからだ。

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TRUNK SHOW

大阪出張

11月に仕事で大阪に行く。いずれ詳しい情報を報告する。パートナーは初めての日本訪問、私は8年ぶりの帰国だ。故郷東京は随分変わったことだろう。大阪の後、母と京都で合流し、その後東京に数日滞在する。若い頃に茶道を習っていた母は、京都にとても詳しい。その影響か、私も昔から京都が好きだ。日本にいた頃は、東京から日帰りしたり、京都市内の友人宅に泊めてもらったりして、よく京都を訪れた。とりわけ、大徳寺の高桐院と瑞峯院は、毎回必ず訪れる思い出多き場所だ。仕事の後の休暇を心の励みに、毎日頑張っている最近の自分に、まるでイタリア人のようだと苦笑する。遊ぶこと、楽しいことを考えると、人間は不思議なくらい元気が出るものだ。

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BORGO SAN FREDIANO 2

ニューヨークよりもクールな地区サン・フレディアーノ2

サン・フレディアーノ通りの名の通り、この通り沿いにサン・フレディアーノ・イン・チェステッロ教会(通称チェステッロ)がある。典型的ネオクラシック建築の、すらりとした佇まいが大変美しい教会で、ファサードとクーポラがアルノ川の水面に映る四季折々の姿に詩情があり、ルネサンス様式の建造物に囲まれて異色の光を放っている。淡いグリーンとアイヴォリーを基調とした軽快な典型的ネオクラシックの内部装飾もまた他とは違って美しい。自分たちの工房がこの通りにあることから、創業以来、守護神的な特別な存在に思ってきた。以前から「フレディアーノ」という聖人について気になっていたので調べたところ、アイルランド出身、6世紀後半(西暦566~588年)にトスカーナの町ルッカの司教を務め、後に聖人となった人で、ルッカ市の守護聖人だと知った(フィレンツェの守護聖人はジョヴァンニ、ヴェネツィアはマルコ、ミラノはアンブロージョ)。「フレディアーノ」の語源をたどると「平和をもたらす人」「平和を守る人」という意味だそうだ。何と素晴らしい言葉だろう。この地区への愛着がより一層増す。

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BORGO SAN FREDIANO 1

ニューヨークよりもクールな地区サン・フレディアーノ1

「世界一クールな地区はニューヨークではなく、フィレンツェのサン・フレディアーノ」というタイトルの記事が有名紙に出て最近話題になった。一方、市行政からは、サン・フレディアーノ地区の魅力と可能性をあまり認識されていない。良い変化をもたらす機会になってほしい。唯一気になったのは、クールな場所として挙がるのは、飲食店(深夜営業の飲み屋、バール、レストラン)だけ。地区の魅力というのは、地域住民の日常であったり、ふれあいであったり、日中の活気にも由来すると、私は思う。その健全な活気を生みだすのは、商店、工房、会社、学校などと、そこで地に足を付けて働く人たちであることを、強調したい。日中閑散として深夜だけ賑やかな地区は住み心地が悪く、クールとは言えない。サン・フレディアーノは、フィレンツェの他の居住地区サント・スピリト、ポルタ・ロマーナ、サン・ニコロなどと同様に、近年、飲食店と観光宿泊アパートが激増し「食べて寝るだけの場所」に変貌しつつある。観光ベッドタウン化は、地域住民にとって地区砂漠化だ。だからこそ、日中働く商店と職人は皆、必死で頑張っている。そういう現実にも、誰か気が付いてほしいと思う。

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AMARANTO

アマラント

アトリエのシンボル・カラーに「アマラント」という深い濃紅色を選んだのには、単に私たちが好きな色というだけでなく、明確な理由がある。アマラントの語源は、ギリシア語で「不朽」「不変」を意味する「アマラントス」。自然界にも深紅の花を咲かせる同名の常緑植物が存在し、常緑であることからギリシア神話で「不死」「永遠」のシンボルとされる。「伝統を守りつつ、自分たちのアイデンティティを反映した新しいスタイルを開拓し、後世に受け継がれる質の高い芸術作品を残す」という私たちの信念に一致し、そのメッセージがこめられている。

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LE ROUGE ET LE NOIR

赤と黒

スタンダールの小説では、赤が軍服、血、激情、黒が僧服、死、苦悩の象徴だったと記憶する。話が飛躍するが、日本でアトリエの作品を扱っていただいている会社の方との意見交換で、赤と黒の組み合わせの革小物の人気が高い、欧州の貴族的イメージと高級感があるからかも知れない、という話があった。日本人は青、紺、藍色が好きな人が多いと思っていたので意外だった。赤と黒は、モンブランやカルティエなど欧州を彷彿しながら、漆器の色でもあり、日本の冠婚葬祭と切り離せない伝統色であるため、日本でも好まれるのかも知れない。アトリエのシンボル・カラーも「アマラント」という濃紅色である。

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NEWS

ATELIERGK FIRENZE on ARTEMEST

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Contact us for further information about our collection.

Special thanks to OMA Firenze and ARTEMEST Milano.

イタリア全国から職人作品を集めたミラノのARTEMESTにアトリエGKが加わりました。

コレクションに関する詳しい情報は、アトリエにお問い合わせください。

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RECENT OBSERVATION BIS

専門分野が異なっても意気投合する芸術家に時々出会う。後世に残る美しい作品を創る、丁寧な良い仕事をする、という基本精神で繋がっているからだろう。ファッション業界で活動するデザイナーは、有名ブランドのデザインをして経済基礎を固め、その資金で自分のコレクションを展開している人が多く、よって彼ら自身も職人であり、ミクロ企業の苦労を知っている、だから話が合う。現在仕事をしている海外のデザイナーもその一人だ。彼曰く、資本主義社会における大企業の極度の利潤追求や非人道的な労働力搾取に疑問を抱いている若い世代の中小企業経営者は多い。新しい動きとして、高い技術をもつ伝統芸術の職人と共同でヘリテイジ・コレクションの試みも増えている。今回の仕事は箱制作だが、将来的に、宝石・金・革を使用したコラボレーション構想が浮上した。実現してもしなくても、価値観を共有できる同世代の芸術家、良識あるビジネスマナーをわきまえた若い企業家に出合うと、ほっとする。

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RECENT OBSERVATION

現在、海外のデザイナーの依頼で、箱を数百個制作している。パッケージ用の箱とは言え、凝った構造で、パーツ裁断から名前箔押しまで完全手作業で行うため、決して安価ではない。彼らの主要輸出国である米国でイタリア製の付加価値は高く、生産をポルトガルからイタリアに移したそうだ。ポルトガル製の箱を見せてもらった折、業者価格を聞いて驚いた。イタリアで求められる価格より何倍も高いのだ。いかなる職人技も、ポルトガルでは正当に評価され、それに応じた報酬が与えられることを知った。イタリアでは夢のような話だ。今まで伊国内企業から箱の制作依頼は数多くあったが、極度の利潤追求による低価格要請と、下請け企業の過酷な労働条件が大前提で話が始まるので、話にならなかった。完全手作業でごく少量制作する特注品に対し、材料費も出ないような、機械大量生産以下の低価格を要求される。イタリアは、芸術と職人の国というイメージを世界にアピールしているわりに、ファッションと食品業界だけが重視され、その他の分野の高い職人技は軽視、酷使されている。大企業による小・ミクロ企業の労働力搾取と、ネームヴァリューに弱い消費者の無知とが相まって、本物の職人が激減し続けているイタリアの厳しい現状と矛盾を、海外の人々に知ってもらいたい。

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AGK’S PHILOSOPHY

私たちが繰り返し言いたい(書きたい)ことがある。「オーダーメイドは服や靴に限らず、全職人仕事に共通し、製本、インテリアオブジェ、修復にもオーダーメイドがある。いかなる分野においても、上質の仕事にはそれ相応の価格が伴う。製本は、産業革命前まで何世紀もの間、オーダーメイドが常識で、ごく限られた富裕インテリ層に許された贅沢だった。産業革命後、より幅広い階級への知識普及に反比例して伝統製本は衰退し、本来の伝統製本のあり方が忘れられてしまった。本の歴史を勉強すると、本には、文字、製紙、紙装飾、版画、印刷、出版、文学、美術、宗教、政治など、人類の歴史の大部分の要素が凝縮されていることに気が付く。私たちは、人類の貴い文化遺産である製本技術を次世紀へ継承するために、この職業を選び、日々研鑽を続け、困難に直面しても情熱を持って続けている。」簡単に作れるもの、簡単に理解されるもの、観光向けのカワイイものを作りたいとは思わない。後世に残る美しいものを作ること、質の高い仕事をすること、それが本物の芸術家としての使命だと思う。例え万人受けしなくても、この基本精神を守りたい。

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