life style

RECENT WORK

BOOK CONSERVATION AND RESTORATION “Supernatural Illusions”

書籍修復の補足4

書籍の保存を世代、世紀の長い単位で考えた時、中性または弱アルカリ性の上質紙で丁寧に作られた、本にジャストフィットする保存箱は、想像以上の威力を発揮する。保存箱の重要性を知ってもらいたい。本の箱には、背が見えるスリップケースと、本全面を覆う箱がある。欧州各国の美術製本コンクールでは、運搬時の本の保護のため、出展作品に保存箱の制作が義務付けられていることが多い。スリップケースと箱には美的側面もあり、審査対象となるコンクールもある。その場合は、芸術作品と呼べる、デザイン性に富んだ独創的な美しい箱作品が並ぶ。そういう「コレクターの世界の常識」を知らない人は、どうせ捨てる箱にお金をかけるのはばかばかしい、と言う。製本を知らない人だとすぐに分かるが、黙っている。過去に一度だけ「スリップケースも保護にはなるが、書棚に置くと背だけ日焼けして外見を損う、だから貴重本には外箱も必要だ」と言った訪問者がいた。とても頭の良い人だと思った。

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JAPANESE PAPER

和紙の話
私の最近の関心事は「埼玉県小川町の細川紙について」だ。3年前、島根の石州半紙、岐阜の本美濃紙、埼玉の細川紙がユネスコ無形文化遺産に指定されたという話を、友人から聞いて知ったのが、そもそもの始まり。和紙は、清らかな水が流れ、原料となる楮などを栽培できる自然豊かな所でないと作れない、ということだけは漠然と知っていたので、関東地方に和紙の産地があるなんて!と驚いて以来、細川紙のことがいつも頭の中にある。教えてくれた友人は浦和在住で、地元では昔から、和紙の手漉き体験は小学校の社会科見学のお決まりで、県民なら知らない人はいない伝統芸術とのこと。私は東京出身だが、故郷東京のことをどれだけ知っているだろうか。灯台下暗しのことばかりだ。(画像は欧州の製紙会社が生産している修復用和紙、左2枚は手染めした革)

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TRUNK SHOW

大阪出張

11月に仕事で大阪に行く。いずれ詳しい情報を報告する。パートナーは初めての日本訪問、私は8年ぶりの帰国だ。故郷東京は随分変わったことだろう。大阪の後、母と京都で合流し、その後東京に数日滞在する。若い頃に茶道を習っていた母は、京都にとても詳しい。その影響か、私も昔から京都が好きだ。日本にいた頃は、東京から日帰りしたり、京都市内の友人宅に泊めてもらったりして、よく京都を訪れた。とりわけ、大徳寺の高桐院と瑞峯院は、毎回必ず訪れる思い出多き場所だ。仕事の後の休暇を心の励みに、毎日頑張っている最近の自分に、まるでイタリア人のようだと苦笑する。遊ぶこと、楽しいことを考えると、人間は不思議なくらい元気が出るものだ。

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LIBRO OTTAVO 2

8ツ折りフォリオ2

「8ツ折りフォリオで袋とじ状態の本を作れるか」という質問に話を戻すと、答えは「できます」。伝統製本の規則に従えば、袋とじ(仮状態)にハードカバー(保存版)をつけるのは矛盾している。しかし、少し工夫すれば、最終的に機能と外見を損うことなく、そのような意表をついた面白い本を作ることは十分に可能だ。天方だけは、埃除け(機能的側面)と見た時の美しさ(美的側面)のために、スッパリ切り揃えた状態にする必要があり、その条件を満たせばよい。近々、試作品を作ろうと思っている。おそらく価値が分かるのは一握りの人だけで、製本と出版の歴史を知らない大部分のイタリア人には「1頁ずつペーパーナイフを入れないと使えないノートなんて面倒だ」と言われるに違いないが、良しとしよう。無難に万人受けする簡単なことより、ごく一握りの人の心に強く響く仕事をしたい。

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LIBRO OTTAVO 1

8ツ折りフォリオ1

「8ツ折りフォリオで袋とじ状態の本を作れるか」と聞かれたことがある。製本を専門としないのに、ここまで知識の豊かな人が世の中にはいるものかと、高度な質問に驚いた。「8ツ折りフォリオの袋とじ」とは写真のような状態のことを言う。ヨーロッパの本は何世紀も前から、こうして大判の紙両面に頁組みした本文を印刷し、それを正しい順番に折って、重ねて、ばらばらの状態か、糸で1ヵ所留めてあるか、ソフトカバーがついて、仮の状態で販売された。仮の状態でペーパーナイフを入れながら読み進み、初回の読書後、製本職人に持参し、永久保存版としてハードカバーに装丁した。装丁は、持ち主の好みや予算に応じて、多様なスタイルとマテリアルの中から選択する。つまり、洋服や靴のオーダーメイドと同じ仕組みだ。しかし、製本の方が歴史はずっと古いので、オーダーメイドでは本が「本家」である。

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RECENT WORK

BOOK CONSERVATION AND RESTORATION “Divina Commedia”

書籍修復-ダンテ・アリギエーリ『神曲』補足3

依頼者はおそらく戦後生まれの方なので、彼の両親か祖父母から譲り受けた本と思われる。本を手に取って頁を繰る時の慎重さから、誰かの形見でとても大切にしていることが、言われなくても伝わる。この本が持ち込まれた日、日本からの取材中で、記者が「何故修復したいのか」と尋ねると、「私達の、私の、歴史そして文化だから。大切に後世に残したいから。」という回答だった。依頼者共通の思いを端的に表現している。古くなったら捨てて新品に買い替えるのではなく、例えお金をかけても、自分の分身として人生の思い出と共に、それを共有する親族に託すために、まず読んで、使って、壊れたら修繕して、また末永く使う。世代が変わっても、そのサイクルが続くようにする。その連続が歴史になる。物を大切にする心は、歴史や文化を、そして周囲の人のことを大切にする心にもつながる気がする。

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BOOK CONSERVATION AND RESTORATION “Divina Commedia”

書籍修復-ダンテ・アリギエーリ『神曲』補足2

P.アルトゥージの料理本、C.ロレンツィーニの『ピノキオの冒険』と並んで修復依頼が多いのが、ダンテ・アリギエーリの『神曲』。このホエプリ版は、終戦の前年1944年出版とある。戦中の物資不足のせいもあるだろう、紙質が悪いために劣化が激しいのが残念だが、当時相当高価だったであろう貴重本だ。戦争で荒廃しきった社会情勢の中で出版された本と考えると、当時の出版界の人々の文化普及にかける情熱を感じる。同時に、食べるものにも困った時代に、本にお金をかける人がいたという事実に、経済的側面よりも、文化的、精神的な余裕に、学ぶことが多い。

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RECENT WORK

BOOK CONSERVATION AND RESTORATION “Divina Commedia”

書籍修復-ダンテ・アリギエーリ『神曲』補足1

この本は、同じものが見つかる場合は買い替えた方が間違いなく早く安い例。書籍修復依頼ではこの時期のものが多い。経済的価値は低いが、上質手漉き紙に印刷された産業革命以前の本と比べると、殊に世界大戦以降の本は、酸性度が高いため劣化が激しく、数世紀前の上質な本を修復するよりも非常に苦労し、時間もかかり、それ相応のコストがかかる。反面、経済的価値が低いため、持ち主としては価値以下の価格で安く済ませたい、という場合が多く、修復家としては頭が痛い仕事だ。それでも、お金をかけても、人生の思い出が詰まった大切な本なので、修復していずれ親族に受け継ぎたいから、と修復を依頼される方も多い。

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PLASTIC MODELS AND BOARD GAMES

レオナルドのプラモデル2

彼の店マジック・ハンマーの名刺に「ボードゲーム・カフェ」とある。BOARD GAMEという言葉には魅力的な響きがある。卓上ゲームですぐに思い浮かぶのはチェスとバックギャモン。バックギャモンの発祥はメソポタミアまで遡り、5600年以上の歴史のある世界最古の卓上ゲームであり、ロマンスが絵巻のように脳裏に展開されるのは私だけだろうか。こういう店では、土曜日の午後、高校生たち(男の子が多いが時々女の子も見かける)が分厚いスーツケースのような黒い鞄を携えて集まってくる。中に何が入っているのかとても気になっていた。観察すると、鞄の中はクッションで仕切られ、各自プラモデルを取り出して台に設置し、ゲームに興じている。夕食時が近くなると、自分のプラモデルを皆大切そうに鞄にしまい帰っていく。家に閉じこもってスマホにかじりついている若者(大人も)が多い現代、コレクター仲間が毎週集まって楽しむ姿は、人間らしい健全な趣味という感じがして、ほっとする。

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ARTISTIC INSPIRATION

Plastic model creation and collection.

“MAGIC HAMMER” shop and board game bar café: Via di Scandicci 93-99, Scandicci (FI).

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レオナルドのプラモデル1

プラモデルと言えば男の子の遊びというイメージがあり、今まで無縁だった。奥が深いことは想像に難くない。収集する物は様々だが、熱心なコレクターに男性が圧倒的に多いのは、幼少期から模型などに触れる機会が多いからかも知れない。先日、レオナルドのゲーム専門店を訪れた。彼がガンダムの話を始めると熱が入り、止まらない。ガンダムは言わずと知れて日本のアニメだが、私にとっては未知の世界。知らない登場人物名にきょとんとしてしまう。店内でスタッフが販売用ミニチュア・プラモデルを制作していた。作業台に所狭しと並ぶ道具と絵具の数々を観察するだけでわくわくする。道具好きの私にはとても魅力的な風景だ。世界中の少年から大人まで、プラモデルに夢中になる気持ちが分かる。

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