life style

SHORT BREAK IN TUSCANY

トスカーナの休日

最近修復の依頼が山のように増え、平日早朝と日曜日も出勤して休まず連日頑張っていたら、暑さのせいもあり、少し疲れてしまった。思いきって平日に1日休み、パートナーとトスカーナをドライブをしてきた。11年前に私たちが知り合って初めて一緒に出掛けた思い出の場所だ。わずか1日の休息が、1週間の休暇に匹敵するくらい、とても良い気分転換になった。良い仕事をするためには、体と頭を仕事から完全に開放することも、時には必要だと思った。

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STIBBERT MUSEUM

スティベルト美術館・スペインの技法

贅沢な悩みだが、フィレンツェで暮らしていると、時々ルネサンス以外の作品を見たくなる。身の回りに少ない様式は新鮮に感じられ、より刺激を受ける。以前から注目している技術に、16世紀から伝わるスペインの革装飾がある。植物の連続模様を施したA3程の大きさの革を縫ってつないで部屋の壁や扉を覆っていた。壁紙ならぬ壁革。重厚な印象で現代の室内装飾には適さないが、自分流にアレンジして美術製本やインテリアオブジェに応用したいと思っている。アールヌヴォー、アールデコ、幾何学模様、和の要素を入れたり、植物柄でも軽快な色調にすると、モダンで独創的な作品になる気がする。

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STIBBERT MUSEUM

スティベルト美術館・箱

空の箱は何に使うのか?何を入れるのか?と想像力のない質問をする人が多い昨今、私たちはそれでもくじけずに様々な素材、構造、機能の箱を制作し提案し続けている。日常品を収納・保管し、室内装飾の役目も果たす、インテリアオブジェとしての箱。革張りの箱は、ルネサンスの頃から存在する。ルネサンス期に、革は製本だけでなく箱制作にも使われ始めた。金庫、書類箱、書斎用具箱、宝石箱、衣装箱、化粧箱、食器箱、銀器箱など、挙げればきりがない。スティベルト美術館でも、世界各国の芸を凝らした美しい箱の数々を堪能できる。

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STIBBERT MUSEUM

スティベルト美術館

フィレンツェでいちばん好きな美術館と言えば迷わず、スティベルト美術館。中心から少し離れた街の北側の高台にある。西洋・東洋の膨大な武器コレクションで有名だが、実は私は武器類は血生臭くてあまり好きではない。それでも尚、フィレンツェで最も美しい美術館と訪れる度に思う理由は、19世紀にフレデリック・スティベルトが世界中の一流の職人に特注で作らせた家具、食器、絵画、調度品の数々、室内装飾の素晴らしさ。屋敷全体がインスピレーションの泉だ。彼のような、文芸を擁護する富裕インテリ(文化教養と財力の両要素が不可欠)がいないと、優れた芸術は後世に残らない、ということを感じる空間だ。

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RECENT WORK

書籍修復の補足2・修復の道具

私は周囲から「君はムカデか」と呆れられる数の道具を持っている。道具収集が趣味というわけではないのだが、日曜日の骨董市で目新しい道具に出合うとつい衝動買いをしてしまう。そんなに集めて何に使うのかと聞かれるが、数十本ある歯科医用金属ヘラでも、自分の中でひとつひとつ用途が決まっている。一方パートナーは、少ない道具で何でも器用に作業をこなす。職人も各自スタイルがある。

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BOOK CONSERVATION

書籍修復の話

本は古くなったら処分して新しく買い替える、修復にお金をかけるのはばかばかしい、と言う人が多い一方、数世紀前の稀少本や近代・現代のコレクター本など経済価値の高い書籍と、特別な愛着や思い出といった個人的価値のある本は、生涯大切にし次世代に継承するために修復を希望する人も多い。修復依頼の多い現代本で出版後50年に満たない書籍でも、特殊な画集、カタログ、専門書などは、価格を調べると驚く程高価で、数千ユーロする本も意外と多く、千ユーロ以内の修復費なら出すと言う依頼者の気持ちを理解する。

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BOOK COLLECTION

書籍コレクションの話

競売で高額記録を更新して売却された美術品の話題を、新聞やラジオで時々見聞きする。仕事柄、書籍と紙作品については特に関心がある。2年前のことだが、競売の新聞広告で、ダーウィン著『種の起源』1859年初版に目が留まった。売却価格125110ユーロ。15世紀の羊皮紙張りインクナブロではなく、19世紀の布張り本である。本という、絵画より地味な文化的芸術作品に大金を費やす人が今もいる、という事実に、大袈裟だが、人類の未来に希望の光を感じた。が、そういう富豪はおそらく、城も飛行機も高級車も宝石も何でも持っているに違いない。

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VISITORS

総革ファイルの依頼者

仕事の都合でフィレンツェから英国に移転した2人が、先日ふらりとアトリエにやってきた。一緒に昼食をとり、楽しい時間を過ごした。海外に移っても私たちのことを思い出してもらえるのは嬉しい。イタリア人の彼女は英国の生活も楽しんでいる様子だが、英国人の彼は、仕事の契約期間が終わったら一刻も早くイタリアに戻りたいそうだ。フィレンツェ在住の欧州出身者と話をすると、皆口を揃えて「フィレンツェにいる時は、無秩序や日常の数多い問題にうんざりしてイタリアはこりごりだと思うのに、故郷に帰って1週間もするとフィレンツェが恋しくなり飛んで帰りたくなる」と言う。出身国と文化が違っても、外国人同士考えることに共通点は多い。

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