TRUNK SHOW

大阪出張

11月に仕事で大阪に行く。いずれ詳しい情報を報告する。パートナーは初めての日本訪問、私は8年ぶりの帰国だ。故郷東京は随分変わったことだろう。大阪の後、母と京都で合流し、その後東京に数日滞在する。若い頃に茶道を習っていた母は、京都にとても詳しい。その影響か、私も昔から京都が好きだ。日本にいた頃は、東京から日帰りしたり、京都市内の友人宅に泊めてもらったりして、よく京都を訪れた。とりわけ、大徳寺の高桐院と瑞峯院は、毎回必ず訪れる思い出多き場所だ。仕事の後の休暇を心の励みに、毎日頑張っている最近の自分に、まるでイタリア人のようだと苦笑する。遊ぶこと、楽しいことを考えると、人間は不思議なくらい元気が出るものだ。

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LIBRO OTTAVO 2

8ツ折りフォリオ2

「8ツ折りフォリオで袋とじ状態の本を作れるか」という質問に話を戻すと、答えは「できます」。伝統製本の規則に従えば、袋とじ(仮状態)にハードカバー(保存版)をつけるのは矛盾している。しかし、少し工夫すれば、最終的に機能と外見を損うことなく、そのような意表をついた面白い本を作ることは十分に可能だ。天方だけは、埃除け(機能的側面)と見た時の美しさ(美的側面)のために、スッパリ切り揃えた状態にする必要があり、その条件を満たせばよい。近々、試作品を作ろうと思っている。おそらく価値が分かるのは一握りの人だけで、製本と出版の歴史を知らない大部分のイタリア人には「1頁ずつペーパーナイフを入れないと使えないノートなんて面倒だ」と言われるに違いないが、良しとしよう。無難に万人受けする簡単なことより、ごく一握りの人の心に強く響く仕事をしたい。

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LIBRO OTTAVO 1

8ツ折りフォリオ1

「8ツ折りフォリオで袋とじ状態の本を作れるか」と聞かれたことがある。製本を専門としないのに、ここまで知識の豊かな人が世の中にはいるものかと、高度な質問に驚いた。「8ツ折りフォリオの袋とじ」とは写真のような状態のことを言う。ヨーロッパの本は何世紀も前から、こうして大判の紙両面に頁組みした本文を印刷し、それを正しい順番に折って、重ねて、ばらばらの状態か、糸で1ヵ所留めてあるか、ソフトカバーがついて、仮の状態で販売された。仮の状態でペーパーナイフを入れながら読み進み、初回の読書後、製本職人に持参し、永久保存版としてハードカバーに装丁した。装丁は、持ち主の好みや予算に応じて、多様なスタイルとマテリアルの中から選択する。つまり、洋服や靴のオーダーメイドと同じ仕組みだ。しかし、製本の方が歴史はずっと古いので、オーダーメイドでは本が「本家」である。

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RECENT WORK

BOOK CONSERVATION AND RESTORATION “Divina Commedia”

書籍修復-ダンテ・アリギエーリ『神曲』補足3

依頼者はおそらく戦後生まれの方なので、彼の両親か祖父母から譲り受けた本と思われる。本を手に取って頁を繰る時の慎重さから、誰かの形見でとても大切にしていることが、言われなくても伝わる。この本が持ち込まれた日、日本からの取材中で、記者が「何故修復したいのか」と尋ねると、「私達の、私の、歴史そして文化だから。大切に後世に残したいから。」という回答だった。依頼者共通の思いを端的に表現している。古くなったら捨てて新品に買い替えるのではなく、例えお金をかけても、自分の分身として人生の思い出と共に、それを共有する親族に託すために、まず読んで、使って、壊れたら修繕して、また末永く使う。世代が変わっても、そのサイクルが続くようにする。その連続が歴史になる。物を大切にする心は、歴史や文化を、そして周囲の人のことを大切にする心にもつながる気がする。

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RECENT WORK

BOOK CONSERVATION AND RESTORATION “Divina Commedia”

書籍修復-ダンテ・アリギエーリ『神曲』補足2

P.アルトゥージの料理本、C.ロレンツィーニの『ピノキオの冒険』と並んで修復依頼が多いのが、ダンテ・アリギエーリの『神曲』。このホエプリ版は、終戦の前年1944年出版とある。戦中の物資不足のせいもあるだろう、紙質が悪いために劣化が激しいのが残念だが、当時相当高価だったであろう貴重本だ。戦争で荒廃しきった社会情勢の中で出版された本と考えると、当時の出版界の人々の文化普及にかける情熱を感じる。同時に、食べるものにも困った時代に、本にお金をかける人がいたという事実に、経済的側面よりも、文化的、精神的な余裕に、学ぶことが多い。

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RECENT WORK

BOOK CONSERVATION AND RESTORATION “Divina Commedia”

書籍修復-ダンテ・アリギエーリ『神曲』補足1

この本は、同じものが見つかる場合は買い替えた方が間違いなく早く安い例。書籍修復依頼ではこの時期のものが多い。経済的価値は低いが、上質手漉き紙に印刷された産業革命以前の本と比べると、殊に世界大戦以降の本は、酸性度が高いため劣化が激しく、数世紀前の上質な本を修復するよりも非常に苦労し、時間もかかり、それ相応のコストがかかる。反面、経済的価値が低いため、持ち主としては価値以下の価格で安く済ませたい、という場合が多く、修復家としては頭が痛い仕事だ。それでも、お金をかけても、人生の思い出が詰まった大切な本なので、修復していずれ親族に受け継ぎたいから、と修復を依頼される方も多い。

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