ATELIERGK FIRENZE

RECENT WORK

BESPOKE WEDDING PHOTO ALBUMS 35x35cm AND BESPOKE SLIPCASES,

ordered from Washington D.C., U.S.A.

Materials: natural tanned Tuscan calfskin, hand-marbled paper,

fabric, linen cord, acid free paper and cardboard produced in Italy.

Details: blind tooling.

Creation process.

©ATELIERGK FIRENZE

PAPER 4

紙の話4

厚紙と装飾紙で制作した箱に関してよくある質問とコメントに、「空の箱は何に使うのか?」「中に食べ物が入っているのか?」「捨てる箱にお金を遣うのは馬鹿らしい」「箱なんて自分で簡単に作れる」。私の答えは、「“和紙は千年、西洋紙は百年”と言われます。耐久し得る年数のことです。美術品修復家として20年毎日紙に触れ、それは紛れもない事実です。高質紙は、驚異的に長持ちする素材です」「自宅にある紙製オブジェの中には、2世紀以上前の物もあります」「箱の金額を、百年、36500日で割ったら、安いと思いませんか?」「箱には好きな物を収納すれば良いでしょう。美しい箱は、部屋を整理整頓しつつ室内装飾にもなる、一石二鳥のインテリアオブジェです。そのような、生活を豊かにするオブジェは“人生の喜びPLEASURE OF LIFE”と定義できるでしょう」。この概念を理解する人は意外と少ない。

（写真：11年使用の弊社作品）

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©ATELIERGK FIRENZE

PAPER 3

紙の話3

手漉き和紙の生産は、昔の日本家屋の室内装飾で行われていたような、年間を通して相当量の消費のある用途でないと、職人の生計が立たず、途絶えてしまう。となると、版画家、写真家、書家など芸術家の作品支持体としての用途と、世界中の文化財修復での使用に加え、世界で活躍する建築家やインテリアデザイナーの大型プロジェクトで継続的に大量使用されると理想的なのかも知れない。欧米の大都市、アラブ諸国、アジアの商業都市には、高級ホテルや大富豪の邸宅など、室内装飾に贅を尽くした建造物が多数あり、そういう分野にこそ、世界に誇る日本製高級和紙が浸透していけば、と願っている。

（写真：京都桂離宮。2017年撮影）

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PAPER 2

紙の話2

日本の手漉き和紙職人のビデオに遭遇すると必ず見る。高度経済成長期以降、日本人の生活様式が激変し、以前は飛ぶように売れた障子・襖用の和紙の需要がなくなり、和紙職人存続の危機にあり、このままでは後継者がいなくなり、いずれ技術が途絶えてしまうだろうと懸念する声が多い。美術品修復に使用される超高級和紙は、世界中で高く評価されているが、1作品ずつ緻密な作業が行われる修復では、需要数が少なすぎるそうだ。私自身、微力ながら消費に貢献したいと切に思い、日本製和紙を修復や制作に使用するが、美術館・博物館・図書館規模でも足りないとなると、どうすれば良いのかと、考えてしまう。

（写真：京都修学院離宮。2017年撮影）

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